Keeping Count

Tatsuya Takahashi & Tokyo Union



東京ユニオン+デビッド・マシュウズによるベイシー・トリビュートと言う、良く考えたら
奇想天外な発想の企画のアルバム。。。
でも、ひょっとしてマンハッタン系のクールなサウンドに料理されたベイシー・ナンバー
が出てきたらどうしよう?なんて言う不安を見事に裏切ってくれる楽しい仕上がりです。
企画を持ち込まれたD・マシュウズがこのアルバム制作に取り組む心中や如何に?
と興味が湧きますが、それでもお馴染みのベイシー・ナンバーをベイシー・テイストを
損なわずにモダンに楽しく聴かせるあたりは流石ですね。
一方で何の迷いもなくダイナミックにスィングする東京ユニオンの演奏がとにかく素晴ら
しいの一言で、特に超絶ナンバーのBasie!やWhirly Birdでのノリの良さはベイシー好き
にはコタエられないです。
1曲だけ違和感があるポップス系のBye Bye Loveは、本家ベイシー・バンドの演奏も
あるとは言えさすがにベイシー・トリビュートには場違いと思われる不思議な選曲で、
ひょっとしてマシュウズの個人的な思い入れでもあるのかしらん?
タイトル曲のKeeping CountはD・マシュウズのオリジナルによるネスティコ・ライクな
ミディアム・バウンスでアマチュアバンドが気持ちよくスィングするには持ってこいの1曲。
ラストは、かのLi'l Darlin'ライクなマシュウズ作のソフトなバラードBallad For 88で天国
のベイシーを偲ぶクロージング。
しかしトリビュート・アルバムの多さで群を抜くベイシーは本当に多くのミュージシャンに
愛されている存在だと改めて再認識させられます。
個人的には稲垣貴庸の端正でシャープにキメるビッグバンド・ドラミングが◎。
CD版はアルトフューチャーの美しいバラードPretty Girlが加わった9曲構成です。

大好き度:★★★★

◎なかでもこの1曲!→「Basie!」
いきなり天国のベイシーに届けと言わんばかりにシャウトするブラス隊と、懐かしい
ソニー・ベインのドラムソロ・パターンで始まる「これぞベイシー!」。
一発目から強烈にスィングするこの先制パンチをかまされたら、たいていのベイシー・
フリークはイチコロですな(笑)。

1.Basie!
2.Topsy
3.Bye Bye Love
4.Blues Backstage
5.Keeping Count
6.Whirly Bird
7.Corner Pocket
8.Ballad For 88

多田善文、竹田恒夫、鈴木孝一、神村秀夫:trumpet
井口秀夫、角田健一、深田悟、山崎通晴:trombone
堀恵二:alto sax,flute,近藤淳:alto sax,flute,高橋達也:tenor sax,flute
森口純夫:tenor sax,flute,丹羽康雄:baritone sax,flute
金山正浩:piano,和田淳生:bass,川野秀俊:guitar,稲垣貴庸:drums

Aug.27-29 & Sep.6,1986, Tokyo

Big Band Paradise