Wayne

Masaru Uchibori & MU Big Band



自ら学バン出身でプロトロンボニストとして活動した後に、現在は作編曲者として
活躍されている内堀勝氏が1995年に結成したリハーサル・バンドの初アルバムで、
Lullaby For Y.UとTraffic Light Bluesは内堀氏のオリジナル。
全編で内堀氏の端正なアレンジと実力派メンバーによるハイレベルな演奏を堪能
できる嬉しいアルバムで、日本のビッグバンドの層の厚さを実感させる素晴らしい
バンドの登場です。
イベント・オープニング調のイントロとクールなテーマモチーフのギャップが面白い
タイトル曲のWayneは、ラリー・ウィリアムス作になるリリカルな現代曲。
定番エリントン・ナンバーのIt Don't Mean A Thingは、猛烈にドライブするベースと
ドラムのリズムをパックにサックス隊が総出で熱いソロ・バトルを繰り広げます。
エリック宮城のフリューゲル・ソロをフューチャーした美しいバラードのEmilyでは、
ハイノートだけではない唄心いっぱいのエリックの魅力にシビレる事うけあい。
ボブ・フローレンスを意識して編曲したと言うDon't Get Around Much Anymoreは、
ちょっとネスティコ・テイストも漂う肩の凝らないカラっとした仕上がりですね。
ジョン・ラ・ポルタ作編曲のRemember Mingusは、演奏時間が8分半に及ぶ長大な
ミンガス・トリビュート作品。
トロンボーン・フューチャーのホサノヴァ・バラードLullaby For Y.U.では、片岡雄三の
メロウなソロがメチャ美しい。
Traffic Light Bluesは、目まぐるしい都会の交通風景を彷彿させるウルトラ・テンポの
ショーケース・ナンバーで、ここでもリズムセクションにはお疲れさまの一言。(笑)
ラストのBoogie Woogieはカンザス・スタイルのオールド・ベイシー・ナンバーで景気よく
盛り上げてクロージング。
個人的には、地味ながらも強烈にスィングする稲垣貴庸のドラミングが大好きです。

大好き度:★★★★

◎なかでもこの1曲!→「Just Friend」
軽快・ノリノリのアレンジで文句なくスィングするお馴染みのスタンダード・ナンバー。
心地よいトロンボーン・ソリによるテーマから始まって目まぐるしいトロンボーン・ソロの
リレーで盛り上がる定番ナンバーですが、ライブでは時折、意表を突くアップテンポで
スタートしてトロンボーン・セクションが目を白黒しながら熱演するショー・アップが見物
になったりします。

1.Wayne
2.It Don't Mean A Thing
3.Emily
4.Just Friend
5.Nefertiti
6.Don't Get Around Much Anymore
7.Remember Mingus
8.Lullaby For Y.U.
9.Traffic Light Blues
10.Boogie Woogie

近藤和彦:alto sax,soprano sax,flute,池田篤:alto asx,三木俊雄:tenor sax,
岡崎正典:tenor sax,clarinet,宮本大路:baritone sax
エリック宮城、菊池成浩、木幡光邦、佐久間勲、岡崎好朗:trumpet,flugel horn
片岡雄三、橋本佳明、三塚知貴:trombone,河野聡:bass trombone
守屋純子:piano,佐藤慎一:bass,稲垣貴庸:drums

May.26 & 27,2003

Big Band Paradise