In Person!

Tony Bennett
Count Basie And His Orchestra



CBSとルーレットがタレント交換して1枚ずつ作った共演アルバムのうちのCBS側で
制作されたアルバム。
ルーレットのスタジオ録音に対してこちらはフィラデルフィアのカジノでの大熱演ライブ
でプロデューサーはCBSの重鎮であるミッチ・ミラー。。。
とここまでは良いのですが、何とこれが実は当日のライブの音源ではなく後日に同じ
顔合わせでスタジオ録音されたものに観客の拍手や歓声を重ね合わせたインチキ
アルバム!
真相はライブでのレコーディングが技術的失敗に終わり苦肉の策でスタジオ再演して
でっち上げたアルバムだそうで、ご丁寧にタイトルまで「In Person!」と言うのですから
呆れた話ですね。
しかし良く聴いてみると、ホールの残響の雰囲気や観客の歓声、実際のショーのような
トニー・ベネットの洒落たMCなどがアテレコとは信じられないくらい真に迫ってますし、
トニーのボーカルやベイシー・バンドのバッキング演奏も素晴らしいのでゲテモノとして
扱うにはもったいないアルバムです。
美しいバラードのLost In The Starsでは、フレディ・グリーンのアルペジオによる洒落た
バッキングが聴けるのも嬉しいです。
ライブ・レコーディングに失敗した担当者の心痛はさぞや深刻だったと察しますが、
Lullaby Of Broadwayではバンドのおふざけ演奏に観客の笑い声まで聞こえるという
芸の細かさで懸命にリカバーした苦労の後を見る事ができます。

大好き度:★★★★

◎なかでもこの1曲!→「Taking A Chance Of Love」
トニーのMC?によるベイシー・バンドの紹介と共に始まる軽快にスィングするナンバー。
ゴージャスにシェイクするブラスのバッキングも気持ち良いですが、フレディ・グリーンの
力強いリズム・ギターがバンドをグイグイ引っ張っているのが印象的です。

1.Just In Time
2.When I Fall In Love
3.Taking A Chance Of Love
4.Without A Song
5.Fascinatin' Rhythm
6.Solitude
7.Pennies From Heaven
8.Lost In The Stars
9.Firefly
10.There Will Never Be Another You
11.Lullaby Of Broadway
12.Ol' Man River

Tony Bennett,vocal;
Marshall Royal,sax; Frank Wess,sax,flute; Frank Foster,sax;
Billy Mitchell,sax; Charlie Fowlkes,sax;
Wendell Cully,trumpet; Thad Jones,trumpet;
Snooky Yang,trumpet; Joe Newman,trumpet;
Al Grey,trombone; Henry Coker,trombone;
Benny Powell,trombone;
Fred Green,guitar; Ralf Sharon,piano;
Eddie Jones,bass; Sonny Payne,drums;
Candido Camero,bongo;

Dec.22,1958,New York(1,5,8,11,4,9)
Dec.30,1958,New York(3,2,10,7,6,12)

Big Band Paradise